「初音ミク」はおそらく数あるボーカロイドの中で一番有名で、一番楽曲が多く、一番コラボレーションをしているキャラクターだと思う。しかし意外にもボーカロイドという音声合成技術を世に送り出した「ヤマハ」と、その技術を使って初音ミクというキャラクターを生み出した「クリプトン・フューチャー・メディア」がコラボした製品というのは今までなかったそうだ。
そのヤマハとクリプトン・フューチャー・メディアとが初めてコラボする製品が2015年3月9日、「ミクの日」に発表されるそうだ。YouTubeでティザームービーが公開されている。
見れば一目瞭然だが、発表されるのは「ミクのイメージカラーをまとったサウンドミキサー」であろう。
ヤマハの公式サイトを見てみると「ウェブキャスティングミキサー」という分類の製品のところにムービーが掲載されているので、おそらく「歌ってみた」や「ゲーム配信」などのウェブ配信ユーザー向けのポータブルミキサーのミクバージョンをリリースする、という発表を3月9日におこなう、ということなのだろう。
ウェブキャスティングミキサーはAG03とAG06という2つの製品がすでに製品ページに掲載されているが、ティザームービー中ではフェーダーを使っているシーンがあることからAG03ベースの製品の特別モデルということになりそうだ。
ウェブキャスティングミキサー AG03とAG06について
AG03とAG06の使用の差は以下のとおり。なお、「ミクバージョン」が下記のスペックと同一になるとは限らないのでその点は要注意。
AG03 | AG06 | |
---|---|---|
画像 (クリックで拡大) |
|
|
入力 |
モノラル(MIC/LINE) ×1 |
モノラル(MIC/LINE) ×2 |
出力 |
モニターアウト×2 |
ステレオアウト×1 |
DSP |
COMP/EQ、EFFECT(SPXリバーブ) |
ch1:COMP/EQ、EFFECT(SPXリバーブ) |
USB オーディオ |
2IN /2OUT |
|
ファンタム 電源 |
+48V |
|
寸法 |
155 × 63 × 202 (mm) |
129 × 63 × 202 (mm) |
質量 |
1.0kg |
0.8kg |
特徴的なのは「ヘッドセットマイク端子」という端子を搭載していること。
従来のこの手のミキサーはPC用のヘッドセットマイクの接続に対応していないことが多く、「せっかくマイクを買ってきたのにつないでも音が小さい」ということがよく起こっていた。AG03/AG06はヘッドセット用の端子も別に用意されているので今PCのマイク端子につないで使っているマイクをそのまま流用できる。(マイク入力端子とは排他使用なので注意が必要)
また「ループバック機能」というPCで流している音声を配信に載せるいわゆる「ステミキ」の機能もサポートしているので、PCで流している曲に自分の歌声を載せたり、BGMをバックにマシンガントークを繰り広げることだって可能だ。
さらに、AG03/AG06はDSPも搭載しており、ボタンひとつでコンプレッサー/イコライザー、アンプシミュレータなどのDSPエフェクトをオンオフできる。
エフェクトの音作りはPC側でやる必要があるが、小型のUSBミキサーにこの手のエフェクト機能はついていないことも多いので「歌ってみた」などの配信に効果を発揮しそうだ。もちろん単なる雑談配信においても、音声入力にコンプレッサーをかけられるので、メリハリの聞いたトークが配信できるようになる。
バンドルソフトとしては音楽制作ソフトのCubase AIをバンドル。ひょっとしたらミクバージョンはこれにボーカロイドのソフトウェアがついてくる、ということになるのかもしれない。
スロット実機配信向けにはAG03?AG06?
一応スロット実機配信をやってる身としては「じゃぁどっちがええのん?」という話をしておいたほうがいいと思うが、ぶっちゃけ「1人で実機配信やるならどっちでもあんま変わらない」という言い方になってしまう。
自分の声をch1もしくはヘッドセットから入力し、実機の音をハイローコンバーターで拾ってライン入力で違うチャンネルに入れてやるのであれば、AG03でもAG06でもどちらでも可能だ。
実機の音をハイローコンバーターを通さずに直接オーディオコードとして引っ張ってきている、という人はゲインコントロールがツマミでできる入力が2系統あるAG06の方がいいだろう。(スピーカーの音を無理やりゲイン上げて拾う、というやり方)
価格については「オープン価格」となっており、現時点でいくら位になるかはわからない状態だが、「2万円前後では」という話も所々で見かけている。この春には店頭やネットショップで買えるようになるようなので、もう少し待ってみよう。