パイオニアのDJコントローラー、DDJ-1000を清水の舞台から飛び降りつつツインVを決めながら購入しました。
今までPCDJのソフトはserato DJ Proを使ってたんですが、3年近くDJの真似事をやってきて「そろそろCDJを使いこなせるようになりたい」という気持ちが湧いてきてしまいました。
とはいえCDJを全部揃えると夏冬のボーナスが吹っ飛ぶくらいの金額になります。CDついてないXDJならちょっとだけ安いとはいえ流石にそこまでの金額は出せない……と思ってた所にCDJと操作系やパーツ類がほぼ共通のDDJ-1000がパイオニアからリリースされてしまいました。
現状のNumark NVでもそこそこいろいろ出来るし、価格も高いし……といろいろ1ヶ月近く悩んだんですが、結局買ってしましました。またもやし生活がはじまるお……。
というわけでいろいろとインプレッション的なものをまとめてみたいと思います。まずはハードウェア編ということで、現在所有しているNumak NVとKAOSS DJ、昔持っていたDDJ-SBなんかと比較していきたいと思います。
rekordbox DJを触るのは初めてですし、CDJ触ったことあるのも数回レベルなので「そんなん常識だろ」的な内容もあるかもしれませんがそのへんはスルーしていただければ。スルーしてください。スルーして。
ミキサー部分
まずミキサーの部分。一般的なGAINと3つのEQに加え、「COLOR」というツマミがついています。serato系コントローラーだと「Filter」のみがついてることが多いんですが、DDJ-1000の場合は「D.ECHO」「PITCH」「FILTER」「NOISE」の4つを切り替えて使うことができるようになっています。
COLORのエフェクトはボタンでオンオフできるので一小節だけピンポイントでフィルターかけるとかいったこともできますが、ボタンを押しとかないと何も有効にならないのでフィルターかけるつもりが何も起きずに肩透かし、なんてことも起きたりします。
FILTERとPITCHはオンにしてツマミでかかり具合を微調整、D.ECHOはあらかじめツマミで値を決めといてオンオフする使い方になるのかなぁと。NOISEは今鳴ってるチャンネル以外(1とか4とか)でかけて、ノイズの音量をチャンネルフェーダーで調節するのがいいかなと思いました。
これとは別にミキサー部分にもエフェクトが一系統あります。ダイヤルでかける先と種類を選び、ボタンで「効き」を調整するというDJMっぽい作り。rekordbox DJではFXの1番の表示と連動しますが、rekordbox DJ起動せずにリアルミキサーとして使った場合でも外部入力にかかるので単体のエフェクターとしてミキサー側に入ってるようです。
DJMでは時間(100msとか)でも指定ができますが、BPMに対する拍の指定しかできないみたいです。rekordbox DJを使ってる分には常にAUTOにしておけばBPMは勝手に追従してくれます。
DDJ-1000はUSBが2系統あるので2台のPCで転換も簡単。また4デッキ全てが外部入力に対応(PHONE対応は1と4のみ)していますのでリアルミキサーとしても使えます。Numark NVも外部LINE入力はついてたんですがミキサーから独立している上にGAINが調整できなかったのでiPadの音声入力とか入れられなかったんですよね。
チャンネルミキサーは動かすと若干抵抗を感じます。(DDJ-SBよりは軽い)フェーダーカーブはrekordbox DJ側で変更する形になるので、本体には切り替えスイッチはついてません。
クロスフェーダーは安心と信頼のMAGVEL FADER。非常に軽いです。各チャンネルのA、B、THRUの設定はパネル面で出来ます。他のコントローラーだとクロスフェーダー部分がネジで止めてあって交換が容易だったりするんですけど、DDJ-1000はそういう設計にはなってないようです。そもそも高耐久のクロスフェーダーではあるんですが。
エフェクトがどうつながっているか
接続としては
rekordbox → COLORエフェクト → チャンネルミキサー → FX(rekordbox内蔵+DDJ-1000内蔵) → クロスフェーダー
となってるようです。COLORエフェクトはチャンネルフェーダーを落とせば聞こえなくなりますが、エフェクトはチャンネルフェーダーを落としても残響が残り、クロスフェーダーで切れば残響もぶつっと切れます。
例外はブレーキ、エコーをかけての曲停止、バックスピンからの曲停止の3種類のエフェクト(リリースエフェクト)で、これらはDDJ-1000側のエフェクトにリバーブなどの残響効果がある物を指定しても反映されません。なのでserato DJ Proのエフェクトでいう「BRAKE ECHO」ができないみたいです。
ジョグ周辺
ジョグ関連もミキサー部同様CDJのパーツと共通になっているので質感も高め。特にジョグは「重さ」も調整できるので自分好みに調整ができます。
PLAYやCUEのボタンもCDJ同様。SEARCHキーは標準状態だと押してTRACK SEARCH、長押しでSEARCHとなってるので個人的には使い勝手があまり良くないと感じました。(これについては後述)
CDJになくてDDJ-1000にあるのがパフォーマンスパッド。HOT CUEやPAD FX、サンプラーなどを切り替えて操作できます。serato系コントローラーだとここにSlicerが割り振ってあったりするんですけど、DDJ-1000はついてないようです。(rekordbox DJ自体にslicerの機能がついてないわけではないです)
ジョグ内周には「COLOR ON JOG DISPLAY」という名称のサブディスプレイがついています。曲の波形(全体表示のみ)、残り時間、BPM、キー、ビートの情報(あと何小節後にHOT CUEが来るのが分かる)、rekordbox DJ 5.2.2以降であれば曲のジャケット画像も表示されますが、全ての情報を表示する状態だとジャケットの半分しか見えません。
写真では乙女フェスティバルを読み込んでいます。Aが曲頭、Bが「ごいっしょに」Cがイントロフレーズの頭、Dが1番の歌い始め、という具合に設定しています。あと何小節でどのCUEが来るのかも分かるようになっています。また、ループを設定している時は何拍でループしてるのかも表示されます。
HOT CUEから再生した場合の位置や、ループの開始位置が目印として残るのも特長です。下の画面では黄色でループ開始のCUEの位置が表示されています。
液晶部は白い背景がついていますが、SLIPをオンにすると赤に変化します。またフェーダーを落として音が鳴っていない状態になると白い部分が黒く変わって視覚的に「このデッキからはマスターに音が行っていない」というのが分かるようになっています。
比較:serato系コントローラーよりもDDJ-1000の方がいい部分
rekordbox djのライセンスキーがついてくる
seratoの場合、コントローラー自体がハードウェアキーみたいになっていて、「つなぐと使える」みたいなモデルがほとんどです。なのでそのコントローラー以外で使うときにはserato DJ Proのライセンスを別に買わないといけないケースが出てきます。
DDJ-1000の場合はライセンスキーが個別についてきます。アクティベーションの手間はありますが、これにより他のコントローラーやDJ Pro Linkでもrekordbox djが使えるというメリットがあります。
ジョグやミキサーのツマミ類がCDJ・DJMと同じ
クラブの箱に設置されてるような機材と同じ物が使われてる、というのは「慣れ」という意味で非常に大きいと思います。配置も非常に近いので「自宅でDDJ-1000、本番でCDJ+DJM」というのにはうってつけと言えます。
PADが8×2の合計16扱える
物理付きについているパフォーマンスパッドは8個ですが、ページ切り替えができるようになっていて合計16個まで扱えます。
HOT CUEだけでなくPAD FXなども2ページ分あるのでかなり幅広い設定ができます。ただ、「どっちのページになってるか」はrekordbox DJの画面をみないといけないのが難点です。
ミキサー部分にエフェクトがついてる
上述の通りDDJ-1000のミキサーはseratoのそれと違い、ミキサー自体についています。なのでLINEで接続した外部の音声やマイクにもかけられます。rekordboxを接続しないリアルミキサー状態でも使えます。かかり具合も過激な感じではなく、searto内蔵のエフェクトよりも個人的には好みな音です。
また、残響(delayとかechoとか)のエフェクトの効き始めるタイミングが直感的です。seratoってかかり初めのタイミングが微妙にずれるんですよね……(rekordboxはエフェクトを掛け始めたいタイミングでオンにする、seratoは残響音を鳴らし始めたいタイミングでオンにする)
ちなみにseratoには搭載されていない「TRANS」(traktorのgaterみたいなの)もあるので、Filterとあわせてサウンドボルテックスごっこもできます。
マイク入力にもEQとかエフェクトとかついてて、トークオーバーにも対応している
DDJ-1000のマイクは音量だけではなくEQやエフェクトも調整できます。また、トークオーバー(マイク入力があると他の音量を自動的に下げる機能)にも対応しているので曲をかけながら配信する、なんてときも重宝します。
serato系コントローラーと比較してちょっと残念な所
ヘッドフォン端子がコントローラー前面の中央寄りについている
ヘッドフォン端子がコントローラーの前面中央寄り、プレイしているとお腹のあたりに来ます。そのためお腹にヘッドフォンのプラグやケーブルが当たります。他のコントローラーだと端子がコントローラーの左端についていることが多く、あまり邪魔にならないためこの配置は非常に気になりました。
DJMなどはフェーダーとかがついている所に上からプラグを刺すように接続するようになっていますが、これと同じにするのは構造上難しかったんでしょう。
BEAT SYNCとMASTERのキーが共通で、しかも小さい
BEAT SYNCのボタンはピッチフェーダーのすぐ近くにあります。そのまま押せばオンオフ、SHIFT+BEAT SYNCでMASTERになります。このキーが非常に小さい。
また、DDJ-1000の場合SHIFT+BEAT SYNCでMASTERのボタンと同等になります。SHIFTキーはジョグの左側にあるのでかなり距離が離れているのでいざ操作するとなるとちょっとしんどいです。(そんなに操作する機会はないかもしれませんが)
SEARCHキーとTRACK SEARCHが共通キーなので連打すると誤動作する可能性がある
ここからはrekordboxで使う場合のお話。SEARCHキーは短く押すとTRACK SEARCHに、長押しするとSEARCHになります。曲の再生位置を変えたい時に何度も細かく押す癖のある人はいきなり曲が別の曲になってびっくりすることになるでしょう。
一応再生中のTRACK SEARCHをロックすれば曲が入れ替わる事態は避けられますが、「ロック中は曲が読めない」的なエラーメッセージと共にプレイリスト上のカーソル位置が変わっていってしまうのでちょっとイライラします。
rekordboxは対応コントローラーのキーマッピングも変更できるので、自分はTRACK SEARCH自体を無効にしてしまいました。
ピッチを±0にリセットするキーが標準で設定されていない
BEAT SYNCを有効にした状態で曲を切り替えると、最終的に「MASTERに設定されているデッキで曲を再生している」という状態になります。この時BPMは直前にかけていた曲のBPMになっています。
これを本来のBPM(要はピッチが±0の状態)に戻すには
- BEAT SYNCを解除する
- 現在のピッチの位置までピッチフェーダーを動かす(動かさないとピッチが変動しない)
- ゼロ位置までピッチフェーダーを戻す
という作業が必要になります。
個人的には一発で元のBPMに戻ってほしい時があるのでできれば標準でプリセットされているキーが欲しかったです。とりあえず今は「SHIFT + KEY RESET」が空いていたのでそこに割り振ってあります。
ピッチフェーダーが使えないタイミングがある
これはDDJというよりもパイオニア系のCDJやrekordbox全般に言えることですが、BEAT SYNCしている時はMASTER側でしかBPMが操作できません。
また上でも書いたとおりピッチフェーダの位置を一度現状位置まで戻すという作業が必要です。(BEAT SYNCで-2%になっている時はピッチフェーダーを-2%の位置まで動かさないとダメ)
CDJやXDJだと液晶に「一回ピッチフェーダもどせ」とメッセージが出るんですがDDJ-1000はrekordbox DJの画面上に小さく出るだけでジョグの液晶に何も出ないので油断すると「あれ、ピッチ変わらないな……」という状態になったりします。
根本的にserato DJ PROとSyncの考え方が違うのでこの辺は慣れないと厳しそうです。
持ち運びはキツイ
横幅は70cm以上、重量6kg以上ということで持ち運びは非常に難しく、イベントの度に持ち出すのは現実的ではないです。他のDJコントローラーと比べた場合特に本体の厚みが大きいのもネックです。
ただ「イベントなら箱にあるCDJ使う」と割り切れば問題にはならないのかも。あと車で持ち運ぶとかね。
CDJでの練習を自宅でやるには今の所一番安いコントローラーかも
いろいろと書きましたけどもDDJ-1000が出てからrekordboxのバグフィックスもこまめにされてますし、なにより操作系がクラブにある機材と共通になっていることも多く、将来的にノートPC一台だけ持ってクラブでプレイ、みたいな事をやりたい人にはうってつけの機材なんじゃないかと思います。
次はrekordbox djとserato DJ Proの違いなんかをまとめてみようかなと思ってます。
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