前回の『拍が合ってればいいわけじゃない!「beat(拍子)」と「bar(小節)」の関係』では「拍を合わせただけじゃダメ、小節単位で合わせないと」というお話をしました。
しかし、拍を合わせるだけじゃダメ、というのと同様に小節も単純に頭を合わせるだけではダメな場合が多々あります。
「んじゃどこで合わせるんだ!」と机をバンバン叩く方もいらっしゃるといいますがまぁ綾鷹でも飲んで落ち着いてください。
この話を進めるには先に楽曲は構造を持っている、ということを先に説明したほうがわかりやすいと思います。
どんな楽曲にも構造がある
クラシック、J-POP、民謡、ロック、童謡と楽曲には色んなジャンルがありますが、どんな曲にも必ず「構造」があります。(構成と言ったほうがいいかもしれません)
ジャンルごとに説明するとそれこそ本が一冊書けるレベルになりますし、あいにくそこまで自分は音楽を勉強しているわけではないので、アニクラでかかることの多い楽曲に近い構造を持っている「J-POP」、古く言うなら「歌謡曲」的なものを中心に考えていきます。
J-POPによくある構造
よくあるのはこんな構造の曲です。
また、「サビから始まる曲」というのも結構あります。個人的には小室哲哉が台頭してきたあたりから増えてきた印象があります。厳密に言うと最初のサビとイントロは別パーツにしたほうがいいんでしょうが、大きな構造として見るときは一つとして見たほうがいいように思います。
上記はあくまで一例ですので、該当しない楽曲もあります。
例えば「間奏なしですぐ2番に行く」とか「いきなりAメロから入る」とか「最後サビのフレーズの繰り返しでフェードアウト」とか。ただ、多くの場合「1番」の構造は「イントロ→Aメロ→Bメロ→サビ」になります。
具体的に曲で見てみる
それでは具体的に楽曲で見てみましょう。サンプルはTridentの「ブルー・フィールド」です。
このMV、最後のサビの最中というよくわからない箇所でフェードアウトしちゃうんですが、サビのあとはイントロと同じフレーズがアウトロとして流れる作りになっています。フルサイズ聞きたい方はiTunesなりでご購入ください。動画に今ここですよ、って埋め込めればいいんですけど権利的な問題もあるのでテキストベースで説明してます。
動画の再生時間 | どの部分か |
---|---|
0:19 | イントロ |
0:41 | Aメロ(「一つ、一つ」~「ヘンなの?感情」) |
0:56 | Bメロ(「とても眩しくて」~「All I See」) |
1:10 | サビ(「なんでもないこの世界が」~「愛で満たされる」) |
1:38 | 間奏 |
1:52 | Aメロ(「一言ずつでもいい」~「比例するこの感情」) |
2:07 | Bメロ(「どこかやさしくて」~「All I See」) |
2:21 | サビ(「なんでもないそのサインが」~「すべての答えが待ってる」) |
2:49 | 間奏 |
2:57 | Cメロ(「時間はいつでも」~「ホントの声を聞かせて」) |
3:25 | サビ(「なんでもないこの世界が」~「愛で満たされる」動画ではフェードアウトした後のフレーズ) |
動画ではフェードアウト後 | アウトロ(「Blue Field」とリフレインが入るイントロと同じフレーズの部分) |
構造は「イントロ→Aメロ→Bメロ→サビ→間奏→Aメロ→Bメロ→サビ→間奏→Cメロ→サビ→アウトロ」という作りになっています。
別の曲でも見てみましょう。今度はアイマリンの「Marine Dreamin’」という曲。アイマリンプロジェクトではフルサイズのMVを公開してます。アイマリンのキャラクターデザインによって同じ楽曲で別のMVもあったりしますが、先に出たほうで。
動画の再生時間 | どの部分か |
---|---|
0:10 | イントロ |
0:43 | Aメロ(「夏の匂い眩しい太陽」~「混ざり合うこの場所で」) |
0:58 | Bメロ(「君と私のストーリー」~「私のハート 輝く」) |
1:05 | サビ(「サマーデイズ マリンブルー」~「このチャンスを掴むんだ」) |
1:28 | 間奏(ラップ的なもの含む) |
2:02 | Aメロ(「太陽照らす二人の影が」~「混ざり合うこの場所で」) |
2:20 | Bメロ(「君と私のストーリー」~「二人のハート 輝く」) |
2:39 | サビ(「サマータイム マリンスノー」~「このチャンスを掴むんだ」) |
3:09 | アウトロ |
この曲はサビのリフレインがなく、2番のサビに当たる部分が最後のサビになっていて、番のBメロの「二人のハート」の後にちょっと引っ張ってからサビで音程を+2して盛り上げる作りになっています。また、全体的にイントロや間奏部分が長いのも特徴です。(1番の後の間奏でラップ的なものも入っているので間奏前にCメロが入っている、という見方もできます)
そういえばマリンちゃんリーチで「ごめんね」とか「ゆるして」ってよく言われますけど、謝ればいいってもんじゃないと思います。
構造を知ると繋ぐ場所が見えてくる
さて、どんな曲にも構造がある、というのは上でも述べました。例に挙げたのは2曲だけで、しかも最後の方は構造が違います。しかし、曲の頭からの「イントロ→Aメロ→Bメロ→サビ→間奏→Aメロ→Bメロ」という部分の構造は同じです。
ここがポイントです。
「イントロの後にAメロがくる」というのが非常に自然な流れです。見方によっては1番の後の間奏は2番のイントロなわけですから、このイントロの間に別の曲を用意して、互いのAメロの頭のタイミングが合うようにつないでやると「サビ→間奏→次の曲のAメロ」という構造ができあがります。
これを繰り返していくことで「イントロ→Aメロ→Bメロ→サビ→間奏→Aメロ→Bメロ→サビ→間奏→Aメロ→Bメロ→サビ→間奏→Aメロ……」というループができあがるわけです。無限ループって怖くね?
ちなみにサビの歌い出しから入る曲の場合、間奏の間にゆっくりつないでいくことができないので、前の曲の間奏の頭と次の曲の歌い出しをあわせてカットイン(次の曲を流すと同時に前の曲を切る)で繋ぐとうまくつながることが多いです。歌い出しがツッコミ気味の曲も多いのでこの辺は要注意。(後日繋ぎ方の説明のときにやります)
単純に間奏の頭で次の曲を再生し始めてもズレます
とはいえ、単純に間奏の始まったタイミングで次の曲の頭から再生をすればいいというものでもありません。曲にはそれぞれBPMがありますし、なによりも同じ「イントロ」でも小節の数が違ったりするからです。
BPMはピッチフェーダーなりSync機能で合わせればいいのでいいとして、小節数が間違ってたりとかするとAメロの頭で合わせようとしたのに次の曲が早く歌いだしちゃったりしてあまり格好のいいものではありません。
ただ、この「イントロ」の小節数、もっというとAメロとかBメロとかの小節数もある程度法則性があります。それを理解しておけば「やべ、早すぎた」とか「やべ、遅すぎた」みたいなことも防げます。次回はそのへんの法則性のお話をしたいと思います。
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